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その7 「かつらの本」
時々、松竹大谷図書館にいらっしゃる方からこのようなご質問を頂くことがあります。
「『暫』の髪型の後ろ側って、どうなっているのかわかります?」
そういわれれば、あの有名な『暫』の鎌倉権五郎、派手な車鬢(くるまびん)が印象的な正面の姿はなんとなく思い浮かべられますが、後ろ姿となると…。
「歌舞伎のお人形を作ろうと思うのだけれど、衣裳やかつらの後ろ側が、どうなっているのか分からなくて…」
そうですよねぇ、お人形なら後ろ側もなくちゃいけませんよねぇ。でも、確かに舞台で見ていても鎌倉権五郎が後ろ向きになるところなんてあまりありませんし(あっても後見が忙しく衣裳を直していたりする…)、写真でもよく見るのはかっこよく見得をきっている正面の図ばかり。花道外のお席でもない限り、しげしげ眺める機会もありません。(花道外でも、ライトがまぶしくてなかなか細部まで見るのは難しいですよね、多分。)歌舞伎座のマスコット・キャラクター《かぶきっこ》の鎌倉ごんごろうクンをじっくり眺めるという手はありますが…。
でも、大丈夫です。松竹大谷図書館には歌舞伎のかつらに関する本があります。いづれも、かつらの名称にイラストが付いていて、後ろ側の結い方も見ることが出来ます。舞台の写真やこれらをあわせて見れば、どうなっているかは推察できそうです。
(写真をクリックすると拡大画像や詳細ページがご覧いただけます。)
1.『かつら』木村雄之助著 1〜3巻 昭和49年発行
木村雄之助は、劇作家で歌舞伎研究家でもあった木村錦花の息子。錦花が経営をはじめた鬘屋を継ぎ、歌舞伎のかつらを記録にとどめようと出版した。役柄によって分類、記録され説明も付いている。
2.国立劇場芸能調査室刊《歌舞伎資料選書4》『鬘付帳(かつらつけちょう)』
付帳(つけちょう)とは記録帳のこと。これは、芝居の場面ごとに登場人物のつけたかつらが記録されている。松田青風の画つき。
3.『歌舞伎のかつら』松田青風著 演劇出版社
初版は昭和34年、平成10年に改訂新装版が出ている。画家松田青風によるかつらのスケッチが美しい。巻末に歌舞伎のかつら語彙集が付く。
『暫』に関して言えば、先月の《のぞいてみよう!大谷図書館・その6「戦前の歌舞伎俳優豪華写真集」》でご紹介した『舞臺之團十郎』のなかに、九代目團十郎の鎌倉権五郎を真後ろから撮影した写真が載っています。非常に珍しいアングルです。
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