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歌舞伎座では現在、3ヶ月間に及ぶ十八代目中村勘三郎襲名披露公演の真最中です。
2階のロビーでは、襲名のお祝いの記念展示が行われていますが、その中でもひときわ目を引くたくさんの木札!これは「入山招木
(いりやままねき)」と言われるものです。
 
山形の板のついた木札に中村家の家紋、ご贔屓連中の名前が書かれています。各界の著名人の名前もあちらこちらに見られ、中村屋の交友関係の広さに驚かれるのではないでしょうか。
そもそも「招木」とは「招き」の当て字で、お客様を招く縁起物です。江戸時代、宿場の旅籠や商家、茶屋の屋号、また火消の組の名などを記した木札を表に掲げていたのが始まりだそうです。
歌舞伎の世界では主として関西で、出演役者の名前と家紋を記した招木を飾っていました。
現在では、京都南座の顔見世興行の際に劇場正面に飾られ、師走の風物詩となっております。
ただ一つ、関東の招木と関西の招木では異なるところがあります。関東の招木は山形の板が組木の形になっており、関西のものは、斜めになった左右の板の上部が交差して少し突き出た形になっています。この山形が「大入り」の「入」の字を模した格好になっていることから、「入山」(大入り)「招木」(招く)と言うわけです。

今年の12月、南座の顔見世では、中村鴈治郎丈の四代目坂田藤十郎襲名披露が行われます。ぜひ足をお運びいただき、今回の招木と見比べてみてはいかがでしょうか。

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