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一見、昔の街灯のようにも見えるこの照明器具。なんとも懐かしい雰囲気を感じさせます。このような照明器具は一般のご家庭ではまず見かけることはないと思いますが、実はこれ、歌舞伎座の楽屋で役者さんが使用している化粧前灯りです。役者さんは、この灯りを何台も鏡台に置き化粧をしています。
 
こんな照明器具じゃなくても、蛍光灯の灯りでも化粧できるのでは?と思われる方もいらっしゃると思いますが、舞台で使われている照明はほとんどが電球灯りのため、この照明器具を使うことで、舞台で浴びる灯りと同じ効果を作り出すことができます。お客様から見た姿を思い描きながら化粧することができるという訳です。
この化粧前灯り、よく見ると傘の部分が特殊な形をしています。この器具を製作しているメーカーに聞いてみたところ、ちゃんと理由があり、内側部分の窪みでわざと乱反射させることで1コの電球で何灯も照らすのと同じ効果が得られ、舞台照明の雰囲気が出せるとのこと。また、傘の外側が緑色に塗られているのは、外部からの光が混入するのを防ぐため。様々な工夫が見うけられます。

歌舞伎座にはこの化粧前灯りが100台以上用意してあり、興行中、各役者さんに使用されていますが、中には「my化粧前灯り」を持って来られる役者さんもいるとか。ここにもコダワリが感じられます。

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