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写真は、我々が舞台棟と呼んでいる部分で、この屋根が複雑に組み合った歌舞伎座の大屋根群のうち、一番高いところになります。
ただ、名前の通り歌舞伎座の大舞台の真上に聳え立つので、劇場正面部からは奥まった位置にあり、ここの大屋根は、人の目線の高さでは正面側からは晴海通りを渡った向こう側からでも見えません。概算、間口42m、奥行25m、平瓦11,000枚、丸瓦8,000枚の大屋根で、天辺まで地上から24m。ご覧のように客席大屋根部より約4mも飛び出ています。
矩形の構造物なので、この部分だけ見ると瓦屋根の巨大な体育館のようにも見えますね。
 
ではなぜ高く建てられているのでしょうか。
実はこの中には緞帳5本、吊物バトン77本、合計82本の舞台装置の吊物が収まるようになっています。さすが歌舞伎座。82本の舞台吊物装置は他にはほとんどありません。
(この吊り物が並んでいる様子は以前ご紹介させて頂きました。「舞台の頭上高く」
 http://www.kabuki-za.co.jp/sya/vol35.html )
この緞帳を含め82本の吊物をすべて真直ぐ上に吊り上げるため、その分を見込んだ天井高で設計されています。
 
この体育館の中を、吊り下げられた緞帳や大道具、照明器具などがエレベーターのように上がったり下がったりしているのですが、普通ちょっと想像つきませんよね。
 
周囲を圧する巨大な瓦屋根の建物が街に溶け込んでいるのも、芝居町木挽町ならでは、でしょうか。
 
通りを隔てたビルの屋上から見ると、
舞台棟の屋根が奥に顔をのぞかせています
下から見上げるとこんな高さ
 

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