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五枚の緞帳の上げ下げは、こちらの操作板にて歌舞伎座照明部が行っております。
 「この緞帳は大山忠作作『朝陽の富士』でございます」
幕間時間にお食事をお座席で召し上がっているお客様には、聞き覚えがおありかと思います。いつも楽しみにして下さるお客様もいらっしゃいます“緞帳紹介”のアナウンスです。
歌舞伎座の緞帳は5枚あり、どれも著名な日本画家の方々の絵が織られています。まだ全てをご覧になっていらっしゃらないお客様は、次回ご来場の際、緞帳紹介に耳を傾けてみて下さい。
その、客席と舞台を隔てる緞帳や引幕。
今回は幕だまりからの視点です。
この仕切りから、舞台側で働く人々を「裏方」。客席側で働く人々を「表方」と我々の中では呼んでいます。「裏方」という言葉は普段の生活でもよく耳にするかと思いますが、元々はここからきた芝居用語。
「表方」は切符の販売業務から、接客担当の劇場係、案内係…と、劇場運営側のスタッフを指します。
幕が開き、現実から芝居の中へとふわりと引き込まれる感覚、舞台と客席とが一体となる瞬間を、みなさんも覚えがおありかと思います。
幕を境に、現実と非現実という異空間を味わうことに留まらず、同じ空間に存在する舞台人と観客の心が通う時間こそが、芝居の醍醐味です。
この視点は、お客様の期待あふれる表情と、俳優の引き締まった表情が同時に窺うことが出来るスペシャルポイントです。

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