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  11月の「吉例顔見世大歌舞伎」では、毎年古式ゆかしく正面玄関の上に櫓を組みます。
 ところで、「顔見世」ときくと、いかにも華やかなイメージがわいてきますが、一体どうしてこんな名前がついたのでしょう? 
 江戸の昔より11月は「芝居の国のお正月」と呼ばれておりました。芝居小屋は俳優たちと毎回1年間の専属契約を結び、そのお披露目(顔見世)として、11月に興行を開いていたのです。幕末には、この契約システムは消滅しますが、豪華な顔合わせ公演として、その後も顔見世は受け継がれてきました。
 江戸の芝居では、中村座・市村座・森田座という、いわゆる「江戸三座」の大芝居だけが櫓を掲げることが許されていましたが、その名残をのこすこの櫓は、今では顔見世の象徴となっております。
 梵天を2本立て、槍が5本並んでおり、また、正面には座紋の鳳凰、左右には「木挽町歌舞伎座きゃうげんづくし」の文字が見えます。眺めているだけで、何となくウキウキしてしまうこの櫓、顔見世にふさわしい吉例と申せましょう。
 
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