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歌舞伎座正面向かって左手に高く積み上げられた酒樽。五、六月の四代目尾上松緑襲名興行期間中飾られます。
五月、六月と四代目尾上松緑襲名披露興行で沸く歌舞伎座の正面に、ひときわ目を引く昔ながらの飾りがあります。酒樽を高く積み上げたその名も“積物” (つみもの)。
今回は四代目松緑襲名にちなんで、「松緑」(まつみどり)という茨城に醸造元がある酒樽が積み上げてあります。
 
始まりは江戸時代、ご贔屓(ひいき)連中が歌舞伎役者へ贈られた品物を芝居小屋の前に高く積み上げて景気づけを行いました。品物は酒樽・米俵・炭俵など。そこに熨斗(のし)マーク・品物名・贈り主・もらい手を記した簡易な祝儀目録ビラを張り付けたそうです。最近では、冠婚葬祭の盛り籠(かご)や居酒屋店先の積樽(つみだる)などにその名残を見ることが出来ます。
昭和以降、品物から金銭へと贈り物の形式が代わることにより“積物”は衰退していきました。その替わりとして目録のビラが飾られるようになり、恵比寿・大黒・福助などの吉祥図が大きく描きこまれるようになりました。
最近ではさらに金銭からお花へと贈り物の形態は変遷し、パチンコ屋の正面にずらっと並んだ開店祝いの花輪へとその形はかわっていきました。歌舞伎座の酒樽を拝んでからパチンコ屋へ行けば、きっと御利益があることでしょう!?
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