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 劇場正面の大扉と同じエンジ色の扉をくぐると、昔の学校を思い出させる風景が目に飛び込んできます。履物が、縦横きちんと並んでいますが、歌舞伎座の楽屋口にある下駄箱の様子です。
 
 楽屋内は土足厳禁になっているので、楽屋に入る人たちはここで楽屋用の草履へと履き替えます。ちなみに舞台へ向かうときは、また、舞台専用の草履へと履き替えます。
 ここで出演者の履物を管理している人が「口番さん」。「口番さん」は、常に楽屋玄関前の通路や、廊下に目を配り、約300近くもある下駄箱から瞬時に履物を選び出し用意します。
 
 この下駄箱、どこに履物を置いてもいいというわけじゃありません。毎月監事室と口番さんとで場所を割り振り、千穐楽の公演が終わると同時に来月の出演者の名札へと貼替えられていきます。
 写真でお分かりのとおり、蓋付きと蓋なしの下駄箱があり、始めは蓋なしの下段が与えられ、経験を積む事によって一段、また一段と上段へ上り、やがて幹部役者になるにつれて蓋付きの下駄箱となるそうです。
 
 撮影中に何人もの出演者の方たちが、履物を履き替えていましたが、まさにここで気持ちも履き替えているように見受けられました。
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