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 歌舞伎座には、楽屋の2階1箇所と3階2箇所に、床山(とこやま)さん達が作業する「床山部屋」があります。
 そもそも床山さんとは大相撲でもお馴染みですが、歌舞伎の世界では、土台が銅やアルミでできた鬘(かつら)に、様々なスタイルの髪を結う仕事を担当している方たちです。
 狂言作者が指定した役柄を、歌舞伎俳優と打ち合わせをすることから床山の仕事はスタートしますが、役者さんの楽屋に出向いての、鬘の掛け外し、鬘の埃や白粉落とし、結い直し、そして保管管理など、その作業は多岐にわたっています。
 原則として床山さんの仕事は、役者さんごとの専任制をとっているそうです。これは同じ役作りにおいても、個性や好み、あるいは家系や芸脈によって生じるそれぞれの
歌舞伎俳優からの細かい要求に応えるためです。
 歌舞伎舞台の華やかさの裏に、今日も昼夜を問わず黙々と、お仕事を続ける床山さん達の世界を想像してみることも、また歌舞伎の世界を深くする愉しみのひとつのようです。
写真と文章・アジャスト田中伸明
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