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 歌舞伎座の舞台裏には1階と2階に分かれた大規模な大道具製作場があり、次月分の舞台製作が行われています。
 大道具のスタッフは総勢約80人。さらに演目によっては外部の協力スタッフが加わることも多いそうです。年齢的には20代から70代まで様々な世代で構成され、現場の女性スタッフも現在4名いるそうです。
 大道具の仕事は、舞台部、製作部、第1と第2の背景部、の4つの部署でシステム化されています。舞台部は5班のローテーションで構成され、主に舞台の飾り付けを担当しています。製作部は通称「木地屋」と呼ばれる職種で、主に大工仕事を担当します。第1背景部は通称「絵描き」と呼ばれる職種で、幅8間(けん:8×1.82m)高さ15尺(しゃく:15×30.3cm)の舞台の背景製作が担当で、作業は主に夜中に行われます。また通称「塗り方」と呼ばれる第2背景部は、屋台物や塀などの製作や経師(きょうじ:張物を表装すること)作業の一部を担当しています。
 舞台の大道具が跡形もなく破壊される演出をご覧になったお客様も多いと思いますが、このような場合などは、1ヶ月の上演数プラス稽古用の分まで同じ仕掛けをあらかじめ製作するそうです。「昔ほど徹夜はなくなったけど・・」とスタッフの方が言っていましたが、現在もかなりハードなお仕事とお見受けしました。
 勤続40年のベテランから20代の若い女性まで、いずれの世代も厳しい雰囲気の中で、もくもくと寡黙な作業を続けられる風景には圧倒されます。

写真と文章・アジャスト田中伸明
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