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 歌舞伎座の建物を向かい側から見上げると、劇場の破風屋根の左側に、同じような瓦屋根がわずかに目に入ります。劇場の本体と似て非なるこの建物、一体ここは何? と思われる方も多いのではないでしょうか。
 
 歌舞伎座に隣接したこの建物は、昭和6年に建てられた由緒ある旧「歌舞伎会館」の名残。今の歌舞伎座の建物よりはるかに歴史の古いこの「歌舞伎会館」はチョッと変則的な形をしていて、下の懐かしい写真は昭和通に面した表玄関で、今ここは歌舞伎座ビルとなり1階が喫茶店「アリス」といえばおわかりでしょう。
 
 この建物は劇場本体とは少し離れて建てられ、その間には小さな中庭と遊歩廊があったといいますが、その部分がちょうど賑やかな西側売店にあたりますので、皆様にはもうおなじみですね。
 
 この現存する「歌舞伎会館」、周囲を別の建物に囲まれているため通りの向こう側から頭の部分しか見えない、ちょっと隠れた存在になっていますが、劇場内の位置関係でいうと、1階の喫茶室から3階カレーコーナーあたりの部分がずっと奥の楽屋口付近まで伸びているわけで、写真で見えている部分はそのカレーコーナーの真上にあたります。
 
 今でも社内では「別館」の名称で呼ばれており、最上階には株式会社歌舞伎座(当メールマガジンの事務局もこの中にあります)、その下のフロアは劇場内で売店・食堂を営業する歌舞伎座事業(株)の事務所となっています。
 
 この窓からはいつでも歌舞伎座の壮大な大屋根を横目に眺めることのできる優雅なロケーション、おそらく銀座地区では唯一の、現存する「瓦屋根のオフィスビル」といえるでしょう。
昭和通に面した旧「歌舞伎会館」表玄関 別館の窓からはこんな光景

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