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 その歌舞伎座の“特等席”は、花道の揚幕のすぐ脇に、長年どっしりと構えています。
  “特等席”と言うだけあって、年期の入った木製のその椅子は、お客様の座席よりも高い位置にあり、一階の客席と、舞台の端から端まで、ほぼ見渡すことが出来ます。
 
 この席に座ることが出来るのは、もちろん歌舞伎座の案内係のみ。歌舞伎座用語で、その担当者を“花道番”と呼んでいます。粋に「花道の番人」と言っておきましょう。
 「花道の番人」は、開演中のみならず、幕間中も場内の様子をキャッチしなければならない大切な役目を果たしています。
 花道使用の際に花道わきの通路を通らないように、また花道を横切らないように(なかには、花道勢ぞろいの際に、役者さんの間を横切ろうという大胆なお客さんも・・・
 
 幕間中では、花道を横切るように赤いジュータンが敷かれ、その上をお通り頂く事が出来ます。その際に、ジュータンを通らずに、花道を踏んで通る方、舞台にいろいろな物を置いてしまう方、揚幕の中に入っていこうとする方など、さまざまな出来事を防ぐ為にも、花道番は無くてはならない存在なのです。
 
 このように、“特等席”とは申し上げましたが、ただ芝居を見ているだけではありません。そこから「花道の番人」は、舞台とお客様を見守っているのです。
 
どうぞ、赤いジュータンの上をお通り下さい。 ジュータンを敷いてないので、通れません!!

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