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 建物のかなめといって良い「柱」。来る9月1日は防災の日でもありますが、どのような柱がこの歌舞伎座を支え守っているか、皆さまと一緒に見ていきましょう。
 
まず1階客席内の柱。
一見頼りなさそうに見えますが、その細い肩(?)で2階席を支えています。歌舞伎座が開場して今年で53年。建築技術の進んだ現在では、客席の前に柱が位置する劇場はほとんど見られなくなりました。その後ろにお座りになるお客様にはちょっとご迷惑になるかもしれませんが、歌舞伎座という建物が刻んだ年月をこんなところでもうかがい知ることができます。

次に2階客席後方の柱。
客席に向かって思い切り斜めに張り出していますが、うっかりと頭をぶつけても大丈夫なように緩衝材が使用されソフトな布地で覆われています。こちらは比較的新しく、2000年に補強され現在のような姿になりました。歌舞伎座そのものはもともと耐震を考慮に入れ設計された建物ですが、この柱を補強することでより強い地震にも耐え得るようパワーアップされたというわけです。

うるし塗りには数千年の歴史があるといわれています。縄文時代からの伝統を持つ工芸の技が、400年の歴史を持つ歌舞伎という伝統芸能と溶け合い、見事な調和を生み出しています。
そして歌舞伎座の柱といえば何といってもこちら。
唐破風の正面入り口を入ったところ、緋のじゅうたんの玄関ホールに林立するいくつもの重厚な丸柱です。直径60cm、その表面を鮮やかな濃朱のうるしで覆い尽くした丸柱は全部で34本あり、地下1階から2階までを貫いています。ホールにそびえ立つその姿は圧巻の一言。古式ゆかしい艶やかな朱の色は、お客さまを非日常の世界へといざなってくれます。
現在ではその制作技術を持った職人さんがほとんどいないという大変貴重なもので、現在のお金に換算するとなんと1本200万円!

そして最後にご紹介するのがこの柱。
歌舞伎座で働くスタッフは、もちろん1人1人が歌舞伎という芸とお客様をつなぐ大切な「橋」。 さあそこでご覧下さい。こちらが歌舞伎座支配人・大沼信之。スタッフという屋台骨を束ね、陰にひなたに歌舞伎座を支える頼もしい棟梁、生きた“大黒柱”です。

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