歌舞伎の語源は皆様ご存知のように、“傾く(かぶく)”。現代風に訳すると、「最先端のカッコいい流行をいく」とでもなるのでしょうか。まもなく生誕400年を迎える歌舞伎も、誕生当時は、随分奇抜な存在だったのでしょう。
驚異的な人気だった8月興行の納涼歌舞伎「研辰の討たれ」を演出した野田秀樹氏は、製作記者会見において「歌舞伎の魅力は誇張と省略。歌舞伎が世界の演劇界に影響を与えたモノがたくさんあるけど、それを改めて再発見したい。」と言うような趣旨の発言をされていました。
さて、その歌舞伎が世界に誇るモノのひとつが、“廻り舞台”です。暗転や緞帳を下ろすことなく、舞台転換をするこの装置は、世界の演劇史に多大な影響を与えました。
実はこの“廻り舞台”の装置は、日本の発明なのです。原始的な“廻り舞台”の仕掛けは、江戸初期の歌舞伎舞台にはすでに存在していたそうですから、その影響もあって、現在も大劇場ばかりでなく全国の小さな歌舞伎小屋にも数多く見受けられます。
歌舞伎座ではこの夏、地下部分のレールや車輪の交換など、この“廻り舞台”の補修作業が大掛りに行われました。この“廻り舞台”、今は当然電動で廻っていますが、故障などいざと言う時には人力で動かすこともでき、過去の長い歴史の中では実際にそういうことも何度かあったそうです 。 |