建替え現場から

解体工事を振り返って(1)

 再建への第一歩である解体工事。建物そのものの解体の難しさに加え、注目度も高く、ひときわ周囲に配慮した工事が行われました。昨年10月に完了した解体作業について、工事を担当された清水建設さんにお話を伺いました。

解体工事を振り返って
各建物を覆うように設置された工事用防音パネルの様子(左から昭和通り側(歌舞伎座ビル)、劇場正面、木挽町通り側)
<撮影:平成22年7月下旬>

《清水建設(株) 歌舞伎座計画建設所:解体工事担当者談》
 歌舞伎座さよなら公演の時ほどではありませんが、解体工事が始まってからも暫くは、歌舞伎座の前で写真を撮影する方が大勢いらっしゃいました。歌舞伎座の建替えに対する世間の関心の高さは感じていましたが、これほどまで注目されながら解体工事をした経験がなかったので、大変驚きました。

 日本一の繁華街・銀座での工事ですから、近隣には多くの方々がおられるため、建物から出る音・埃・振動を抑えることにも配慮しました。防音パネルや防音シート(写真上)の設置はもちろん、解体の機械は通常よりも小型のものを使い、解体作業も一カ所に集中しないように分散させるなどの工夫で、騒音や埃の発生を抑えるようにしました。
 「気がついたら建物が無くなっていたね」と思っていただけることを目標に、できる限り晴海通り側の劇場正面部分を残すよう建物の裏側から解体を進め、最後に正面玄関部分を取り壊しました。

 それにしても、歌舞伎座の中は迷宮のように複雑で、作業場所に行くルートや、今自分のいる場所がどこか分からなくなることがありました。そのため、場内の様々な場所に地図を貼り(写真下)、必ず2人一組で作業に当たらせました。また、仕上げの下地に木材を使っているなど、建物の目に付く場所以外にも木材が多く使われていたので、解体後の残材の分別作業も、より丁寧に行いました。

 工事の開始当初は、第四期の意匠を継承するための部材採取や調査が平行して行われており、ただ建物を取り壊すだけの現場とは一味違った緊張感があったことも、歌舞伎座の解体工事ならではの特徴でした。 / 保存・調査の様子は次号「解体工事を振り返って(2)」にて配信予定

解体工事を振り返って
作業員が迷子にならないよう劇場内に掲示された地図(現在地と作業ルート、避難経路などが記載)

 歌舞伎座の象徴ともいえる屋根瓦、その数実に27万枚。その解体の様子は以前紹介(【7月下旬】歌舞伎座大屋根の瓦の解体)しましたが、取外しは瓦職人にも指導を仰ぎ、ほぼ全てが手作業で行われたそうです。また、壁を壊すとさらに古い壁が出現したり、実際に解体してみなければ判らないことも多かったそうで、解体作業中のご苦労話の中にも、歌舞伎座の長い歴史が感じられました。

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