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第四回「和菓子を愉しむ~歌舞伎『外郎売』の魅力」が開催されました


縁起の良い生菓子「宝来袋(ほうらいぶくろ)」(右)とお土産「ういらう」

毎回、満員御礼のイベント「和菓子を愉しむ会」。第四弾は、「歌舞伎『外郎売』の魅力」と題し、10月28日(土)、歌舞伎座『花篭』で開催されました。
講師は古典芸能解説者、葛西聖司さん。

「二代目市川團十郎が初めて歌舞伎の『外郎売』を披露して今年でちょうど300年」。
当時、「咳・痰が止まらまらなかった團十郎が、薬の“ういろう”(透頂香・とうちんこう)を愛用していた」ことが上演のきっかけになったとも。

「売立て口上が見所」と葛西さん。「鮒きんかん椎茸定めて~」の部分には、「渡辺綱(鮒)、坂田金時(きんかん)、卜部季武(椎茸)、碓井貞光(定めて)と、当時の芝居によく出た名前が隠れています」。
葛西さんの流暢な口上に続き、会場の皆様も復唱!台詞術の面白さを体感していただきました。

続いて、イベント協力の株式会社ういろう代表取締役 外郎武さんと、虎屋文庫 中山圭子さんによる「薬とお菓子の“ういろう”」の講演。司会は葛西さん。

650年続く外郎家の歴史について外郎さんは、「(初代は)中国から亡命した役人。役職名の一部だった“外郎”は唐音で“ういろう”。それを名乗った」。
“透頂香”は、「現存する日本最古の薬、のどや胃腸の万能薬“ういろう”」として重宝され、「(芝居の)口上は、偽薬への警鐘広告だった」とも。
また、お菓子の“ういろう”は、「薬屋だからできた黒砂糖のお菓子で、今で言う健康食品、国賓への接待として考案された。」など、薬とお菓子と共に営んできた外郎家ならではのお話を伺えました。


25代目当主の外郎武さんと葛西聖司さん(写真左) 虎屋文庫の中山圭子さん(写真右)

中山圭子さんから、虎屋には慶安4年(1651)、天皇家に"ういらうもち"(外良餅)を納めた記録があり、「江戸時代の百科事典には、羊羹と同様、竹皮に包まれている図が見えること、色を付けたり、氷砂糖を使ったりしたものなども作られ、庶民に広まった」など、解説がありました。

虎屋の“宝来袋”(生姜入白餡を「外良」の生地で包んだ生菓子)も提供され、最後は、日本各地で名産となった“ういろう”についてフリートーク!
まさに“ういろう”づくしのイベントとなりました。


配布された『外郎売』の“売立て口上”(写真左)
銘菓「ういろう」についても書かれた虎屋文庫編著「和菓子を愛した人たち」の販売も好評!(写真右)

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