新しい歌舞伎座について

2011年4月5日、銀座東武ホテルにて「歌舞伎座建替え計画 外観デザイン発表会」を行いました。

出席者: 事業者  
   株式会社歌舞伎座  代表取締役社長
 松竹株式会社  代表取締役会長
   大谷信義
   松竹株式会社  代表取締役社長
 松竹株式会社  専務取締役・演劇本部長
 株式会社歌舞伎座  代表取締役専務
 松竹株式会社  取締役・歌舞伎座開発担当
迫本淳一
安孫子正
大沼信之
武中雅人
  設計監理  
   株式会社三菱地所設計  代表取締役副社長執行役員
 隈研吾建築都市設計事務所
大内政男
隈研吾

 

ご挨拶 (2011.4.5 「歌舞伎座建替え計画 外観デザイン発表会」にて)

株式会社歌舞伎座 代表取締役社長
松竹株式会社 代表取締役会長
大谷信義

株式会社歌舞伎座 代表取締役社長 大谷信義

 3月11日に発生しました東日本大震災でお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り致します。また、被災者の皆様に心よりお見舞い申し上げます。被災地の一日も早い復興をお祈りする次第でございます。

 本日は「歌舞伎座建替え計画 外観デザイン発表会」にお集まりいただき、誠に有難うございます。
 歌舞伎座は、昨年の4月興行まで行ないました「歌舞伎座さよなら公演」ののち、休館致しまして、現在、建替え工事中でございます。
 今回の工事では、劇場内のバリアフリー化、お客様トイレの不足など、お客様環境の改善は勿論の事、文化施設の新設、地下鉄駅との直結など公共的な機能も新たに備え、また、防災面では、建物構造の耐震性能には特に注意を払い、帰宅困難者の一時収容などの新たな機能も加え、より多くの皆様に一層のお役に立つ建物にしたいと存じます。
 工事に際しましては、設計の三菱地所設計株式会社様、隈研吾建築都市設計事務所様はじめ、歌舞伎俳優の皆様、施工の清水建設様など多くの関係者の方々にご尽力賜りました事を御礼申し上げます。
 今回の建替えにより、さらに未来永く、歌舞伎が歌舞伎座で存続できますよう、ご支援賜りますようお願い致します。

◆◆◆

松竹株式会社 代表取締役社長
迫本淳一

松竹株式会社 代表取締役社長 迫本淳一

 先般、東日本を襲いました震災におきまして、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
 私どもと致しましても、このような時期に歌舞伎座のデザインを発表することに関しては大変苦慮致しました。しかし、多くのお客様に支えられてきた歌舞伎座であり、又、多くの方々が高い関心をお持ち下さり、日本人の心の故郷と仰って下さる方までおられ、私のところにも随分とお問合せを頂きました。歌舞伎座のデザインが決まりましたら、一刻も早く皆様にご報告すべきと考え、今般このような機会を設けさせて頂いた次第です。

 歌舞伎座のデザインを考えるにあたりまして、これまでの歴史的デザインを大切にしつつ、また、銀座という新しい魅力のある街にしていくという事の両立を考えました。これはまさに、古典歌舞伎の伝統を守りながら新作にも挑戦していくという、言わば歌舞伎の精神にも通じるようなところもございます。そのようなことを考えながら設計して頂いた三菱地所設計様や隈研吾先生に色々とご無理を申しあげた次第でございます。
 歌舞伎座は歌舞伎の殿堂であるとともに、銀座のランドマークでもあり、また、東京の観光拠点でもあります。そして何より、日本の精神、日本の文化の発信拠点となるのではないかと思っております。そのようなことを考え、私どもは今までの歌舞伎座と変わらないような劇場部分であるということを極力心掛けた次第でございます。ですから、和風の桃山様式を継承致しまして、「歌舞伎座は変わらない」ということを基本として考えさせて頂きました。その上で、新しい諸機能を備えたオフィスビルが歌舞伎座を引き立たせるようなデザインということをお願いして今般このような形になりました。
 また、起こらない事を心から願う次第ですが、万が一の災害時には、防災支援の一助となるように考え、3000人程度の帰宅困難者が一時的に避難するスペースと備蓄を持つ施設となっております。平和で安全な建物として、歌舞伎座が多くの方々に愛され続けますよう、我々も努力して参る次第でございます。何卒、宜しくお願い致します。
 本日は誠に有難うございました。

◆◆◆

※社団法人日本俳優協会 中村芝翫会長からメッセージが寄せられました

社団法人日本俳優協会 会長
中村 芝翫

「新しい歌舞伎座の外観図発表に際して」

 このたび新しい歌舞伎座の外観図が発表されますことは、私たち俳優にとっても、まことに嬉しいことでございます。
 今回の発表に先立ち、俳優協会の理事会で下見いたしましたが、大変好評でございました。それは私たちが長年親しんできた第四次歌舞伎座をそのまま再現したかのような外観だったからでございます。正面ロビーの吹き抜けの大間や客席などの完成予想図も、以前の歌舞伎座を彷彿させるものでございました。客席や舞台も以前の歌舞伎座とほぼ同じ寸法で、舞台のプロセニアムから飾り金具に至るまで、第四次歌舞伎座の部材をそのまま使われるそうでございます。これは私たち俳優にとっても、大変ありがたいことです。以前の歌舞伎座は大変に音響がよく、科白や音楽がよく通り、お客さまにとっても演じる側にとっても、心地よい劇場でした。しかも世界の高名な劇場に負けない格調と品位を備え、長い伝統に培われた雰囲気をもつ懐かしい歌舞伎座が、最新の技術による高い安全性の上に再現されることは、本当に喜ばしいことです。
 先月に起きた未曾有の震災で多くの方々が被災されましたことは、まことに痛恨のきわみでした。歌舞伎に限らず、演劇は多くのお客さまに支えられてこそ、活き活きと演じられるものです。そしてどんな時代や環境にあっても、私たちの芸がお客さまの心を慰め、生きる支えになってほしいと念じております。第三次の歌舞伎座は、完成間際の大正十二年に関東大震災で罹災しましたが、その不運にもめげず大正十四年に開場され、帝都復興のシンボルとなりました。そして昭和二十年の大空襲で再度羅災しましたが、松竹の大谷竹次郎会長の執念と多くの人たちの尽力により再建され、昭和二十六年に第四次歌舞伎座として開場されました。あのときの嬉しさと感動を忘れることはできません。それは敗戦と戦災から甦る戦後日本を象徴する出来事でした。私はその歌舞伎座の舞台に立たせていただき、復興なった平和な日本で歌舞伎を演じられる幸せを痛感しました。歌舞伎はもともと、戦国の世が終わり、平和になった世の中で、鎮魂を念じ、生きる歓びを謳歌するために生まれたといわれています。どのような時代にあっても、芸術文化の灯を絶やしてはならないと念じ、私たち俳優協会は、松竹株式会社と協同して被災地への支援を続けつつ、これからも歌舞伎の伝統をまもり、芸の研鑽に精進して、二年後の歌舞伎座の完成を待ちたいと存じます。

◆◆◆

外観デザイン発表会にて
2011.4.5 歌舞伎座建替え計画 外観デザイン発表会にて
左から、大沼専務、大内副社長、隈先生、大谷会長、迫本社長、安孫子専務、武中取締役

 

歌舞伎座建替え計画について

今回の建替えの主眼は、歌舞伎の殿堂「歌舞伎座」の継承です。歌舞伎というかけがえのない、日本の財産を後世に伝えるため、歌舞伎座を建替え、劇場と賃貸オフィスビルを併設した建物を建設する事とし、昨年10月に新築工事を着工しております。

外観デザイン発表会にて
▲外観(晴海通り側)完成予想図

(株)三菱地所設計+隈研吾建築都市設計事務所による共同設計

隈研吾

隈研吾建築都市設計事務所
隈研吾

 新しい歌舞伎座のテーマは時間の継承にあります。江戸時代から歌舞伎が積み重ねてきた歴史という時間の継承が大きなコンセプトです。
 これまで、事業者である松竹株式会社と株式会社歌舞伎座や、俳優・舞台スタッフと密接な会議を幾度となく行い、様々なご意見を頂きながら、また歌舞伎座の持つ長い歴史性を常に感じながら第五期歌舞伎座として纏めてきました。
 全体は歌舞伎座を引き立てる日本建築の美を追求したデザインと致します。劇場部分は瓦屋根、唐破風、欄干等の特徴的な意匠をはじめ、第四期歌舞伎座のデザインを踏襲します。また、劇場外装の飾り金物や、劇場内部の舞台プロセ二アムアーチをはじめ、使えるものはなるべく再利用したいと考えます。
 劇場の背後に建つ高層部分は、日本の伝統的美学を基調に、劇場と調和したデザインと致します。歌舞伎座を引き立てる背景となるように日本建築の捻子連子(ねりこれんじ)格子をモチーフとし、すっきりとした中に柔らかな陰影のある外装と致します。伝統的な劇場部分と、現代のオフィス空間が必要とする合理性の両立を追及した建物とします。
 低層に構える劇場部分と高層のオフィスビル部分の中間には誰でも気軽に入れる交流スペースと日本庭園を設けています。オフィスワーカーのリフレッシュスペースでもあり、地域の人々や東京を訪れる観光客などにとって、魅力的な新しいスポットが銀座の憩いの場所として誕生します。
 皆様に親しまれてきた歌舞伎座を次世代まで伝え、銀座の街並みと調和し、末永く東京の顔となるような建物を目指します。

©dbox Contact for the photographer:(Kuma5)James Gibbs | Founder d b o x advertising & design 110 Leroy Street | New York NY 10014 T 212.366.7277 ext. 0732 | F 212.366.1362 www.dbox.com

 

◆紹介映像

新しい歌舞伎座 「伝統」と「創造」の融合をめざして

銀座のランドマークとして皆さまに愛され、歴史と伝統をはぐくんできた歌舞伎の殿堂・歌舞伎座。

より魅力的に より親しみやすく より多くのみなさまに―

歌舞伎座は、第四期歌舞伎座のデザインを踏襲しながら、新しい時代に合った品位ある劇場に生まれ変わります。

 

◆デザイン(劇場空間)


新しい歌舞伎座が、その価値を未来へ伝える

劇場は従来通りに低層で構え、日本様式の外観デザインを踏襲。また、高層オフィス部分をセットバックし、劇場とシンメトリーになるよう、空に溶け込む白ラインの格子とガラスを基調とした品位ある端正なデザインとしています。

デザイン(劇場空間)

 

◆コンセプト


〈その1〉劇場・歌舞伎座を中心とした複合文化拠点の形成

世界で唯一の歌舞伎専用劇場である「歌舞伎座」。新しい建物では、劇場の再生と機能の向上を目指します。また、劇場以外では、歌舞伎を中心とした和の文化を世界に向けて発信するスペースを整備します。

  • 各フロア、各施設のバリアフリー化
  • 客席寸法の改善
  • トイレの増設
  • 歌舞伎文化を啓発するギャラリー施設の設置
  • 伝統文化の交流拠点「(仮称)国際文化交流センター」の整備
  • 学びの場「(仮称)歌舞伎アカデミー」の整備

〈その2〉都市基盤の整備

劇場・歌舞伎座

新しい建物は、地下鉄東銀座駅と直結。より便利な空間を整備します。

  • 地下と地上を結ぶ、バリアフリー導線の整備
  • 情報発信拠点の形成
  • 災害時一時避難スペースの整備
  • 防災備蓄倉庫の整備
  • 大型地下駐車場の整備

〈その3〉みどり豊かな都市空間の創出

地上部、屋上部の緑化整備を進めるとともに、道路の環境整備を行い、周辺街路の活性化を狙います。

  • 緑と触れ合う「屋上庭園」の整備
  • 晴海通り・木挽町通り等の緑化整備

〈その4〉環境負荷低減への取り組み

環境に配慮した最先端ビルとして、省エネ化を図ります。

  • 熱を通さないLOW-Eガラスの採用
  • 空調設備等のCO2の排出量削減
  • 太陽光発電、自然換気等の利用

※計画概要全体につきましては、プレスリリース にてご確認ください。


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