建替え現場から

日本最大級の廻り舞台

舞台中央の床を、大きく円形に切って回転させる「廻り舞台」。
現在では、オペラやミュージカルの舞台でも、当たり前のように使われている「廻り舞台」ですが、実はその原型は、世界に先駆けて、江戸時代、大阪の芝居小屋で取り入れられたといわれています。

「日本一の廻り舞台」


新しい歌舞伎座の「廻り舞台」は、三精輸送機株式会社・神戸工場で造られました。
上の写真は、2012年3月に行われた試験運転のようす。
ちょうど迫り(※1)の部分に大勢の人が乗っていますが、ご覧のようにビル5階分もの高さがあり、ハタから見ても大迫力のスケールです。
※1 迫り(せり):廻り舞台の一部分を長方形に切り抜き昇降させる装置

≪工場での製作のようす≫

「日本一の廻り舞台」


新しい「廻り舞台(盆)」の直径は、第四期と同じく60尺(18.18m)ですが、深さは約16.5mと4倍近く深くなり、国内最大級の大きさとなります。
歌舞伎俳優の第二の我が家とも言える、歌舞伎座の舞台。
長年慣れ親しんだ舞台各所の寸法が、俳優さん達の身体に染み付いているため、盆だけでなく、プロセニアムアーチ(※2)、花道の長さなどは全く変えていません。
また、松・竹・梅の3種の迫りに、さらに今回は「大迫り」が新設され、より多様でダイナミックな舞台転換が可能になりました。
※2 プロセニアムアーチ:客席と舞台を区切る額縁状の構造物

「日本一の廻り舞台」

「廻り舞台」の製造をお願いした三精輸送機株式会社は、舞台機構、昇降機などの製造メーカーで、ジェットコースター、観覧車などまで、国内トップクラスのシェアを誇ります。
「お芝居の邪魔にならないように、静かに動かして」
こんな巨大な装置にそんな無理な注文を・・・と思うかもしれませんが、舞台関係者にとって妥協できないお願いに、三精輸送機の高い技術が応えてくれました。

「日本一の廻り舞台」

この厳しいチェックに合格した「廻り舞台」、いったん分解され、東京に運ばれてきました。
待ち受ける現場は、まさに奈落の底の、深い大きい穴。
檜舞台の床下空間に、これから約4ヶ月かけ、こんな重厚な鉄の機構が組み上げられます。

2012年6月4日

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