四季で楽しむ江戸グルメ

更新日:2023.04.10

幕の内弁当と歌舞伎

陽気がよくなり、弁当を持参して出かける機会が多くなった。弁当といえば、まずはじめに幕の内弁当が思い浮かぶ。

江戸の芝居の興行時間は、長時間にわたっていた。嘉永2年(1849)生れの江戸っ子鹿島萬兵衛は「芝居始り三番叟・脇狂言などは夜明け頃に始め、序幕は五ツ(朝八時)には開幕す。打出し(閉場)は早き時は夜の五ツ(夜八時)、遅き時は九ツ(夜十二時)過ぎることあり」と記している(『江戸の夕栄』)。

したがって、江戸っ子は飲み食いしながら芝居見物をしていて、芝居見物にとって食べものは重要な役割を果たしていた。

江戸での芝居見物は、芝居茶屋の案内で場内に入るものと、木戸から直接に入るものと二つの階級に分かれていた。桟敷の客と平土間の客である。芝居茶屋の客は桟敷席に案内され、客が席に付くと、茶屋の者が、即時に煙草、茶、菓子、番付を用意し、次いで口取り肴・さし身・煮物と酒を出した。そして、昼になると、幕の内弁当、午後には鮨に水菓子を運んできた。

平土間の客も弁当を持参することはなく、幕の内弁当を100文で中売りから買って食べたりしていて、芝居見物にとって幕の内は欠かせないものだった。

幕の内とはそもそも、遊山、行楽などの際に張り巡らした幕の内側をいったが、芝居の幕間に食べる弁当、という意味で幕の内と呼ばれるようになった。

この幕の内ついて、江戸の風俗を記した『守貞謾稿』(嘉永6年)は、芝居茶屋では、「幕の内と名づけて、円くて平たい握り飯を軽く焼いたもの十個に、焼玉子、蒲鉾、蒟蒻、焼豆腐、干瓢を添え、六寸(約18㎝角)の重箱に納めて客席に運んでいた」と記している。

また、江戸には幕の内弁当を売る店が多数現れていた。

このご飯といろいろなおかずを詰め合わせた様式の弁当が、幕の内弁当として歌舞伎の世界以外でも広く人気を得ていくのである。

「木挽町広場やぐら」に展示中
監修・著飯野亮一
料理紹介

【江戸の幕ノ内弁当】

■焼き飯
白飯と鰹節を合わせ、味醂と醤油で味付ける。
握り飯に三度塗り、焼き色をつける。形は扁平な丸形とする。

■焼き豆腐
だし7 砂糖0.8 醤油1の割合で炊く。

■蒟蒻
沸騰したお湯に入れ、湯こぼしをする。
だし6 砂糖0.5 醤油1の割合で炊き上げる。

■里芋
鰹だし8 砂糖0.8 醤油1 酒少々の割合で炊き上げる。

■玉子焼き
玉子10個 鰹だし1 砂糖100g 醤油40㏄を合わせ焼く。
お勧めの日本酒
  • 白鶴 特撰 特別純米酒 山田錦
    辛口の味わいがしっかりした味の料理と相性が良いお酒です。
    最高峰の酒米 兵庫県産山田錦を100%使用した特別純米酒。
    滑らかでやさしい口当たりからしだいに山田錦らしい”コク”がふくらみ、後口は軽快に切れていきます。

    白鶴 特撰 特別純米酒 山田錦 紹介サイト

ホーム > 最新情報 > 四季で楽しむ江戸グルメ